旅する写心 〜ありがとう、アーニー。

アーノルド・パーマー逝く。
1987年、初めて行ったマスターズで
パーマーの写真を撮った。

毎ホール毎ホール、
パトロンたちは立ち上がり、
拍手で迎える。
パーマーは手を振り、
お得意のサムアップで応えていた。

いつからかパーマーに向けられる拍手は
音が違うことに気づいた。
手を打つひとつひとつの強さか、テンポか。
不思議なぬくもりを感じ、
人々が抱く畏敬を感じたのだ。

その場に居合わせた誰もが
幸せな気分に包まれる。
真のスーパースターだった。

今年のマスターズのオナラリースタート。
もうボールを打つことはできなかったが、
グリーンジャケットを着て、
パトロンに笑顔で応えていた。

最後のサムアップに僕は
笑顔で応えることはできなかった。
ありがとう、アーニー。

宮本 卓Taku Miyamoto

1957年、和歌山県生まれ。神奈川大学を経てアサヒゴルフ写真部入社。84年に独立し、フリーのゴルフカメラマンになる。87年より海外に活動の拠点を移し、メジャー大会取材だけでも100試合を数える。世界のゴルフ場の撮影にも力を入れており、2002年からPebble Beach Golf Links、2010年よりRiviera Country Club、2013年より我孫子ゴルフ倶楽部でそれぞれライセンス・フォトグラファーを務める。また、写真集に「美しきゴルフコースへの旅」「Dream of Riviera」、作家・伊集院静氏との共著で「夢のゴルフコースへ」シリーズ(小学館文庫)などがある。全米ゴルフ記者協会会員、世界ゴルフ殿堂選考委員。

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