旅する写心 〜「全米オープンの記憶」1989年 ストレンジの連覇

戦後の全米オープンで
連覇を果たしたのは2人だけ。
ベン・ホーガンともう一人は
カーティス・ストレンジだ。
私の「全米」撮影は1988年から。
ストレンジの連覇目撃から始まった。

当時珍しいメタルドライバーを使用、
記憶では最初のメジャー優勝者だ。
どこまでもステディなプレーで
全米オープンの厳しいセッティングにも
フェアウエーをキープしていた。
写真は2連覇を達成した1989年大会だ。

翌90年のメダイナ、
3日目を「68」で回って首位と2打差に迫り、
ストレンジの3連覇達成に注目が集まった。
大記録を前に極度のプレッシャーもあり、
最終日は「75」。連覇は途絶えた。
この大会の後、ストレンジは
燃え尽き症候群に陥ったのか、
二度と優勝することなく消え去った。

連覇を達成したプレーヤーは
その後、現れていない。
全米オープンの連覇がいかに大記録か、
歴史が証明している。

宮本 卓Taku Miyamoto

1957年、和歌山県生まれ。神奈川大学を経てアサヒゴルフ写真部入社。84年に独立し、フリーのゴルフカメラマンになる。87年より海外に活動の拠点を移し、メジャー大会取材だけでも100試合を数える。世界のゴルフ場の撮影にも力を入れており、2002年からPebble Beach Golf Links、2010年よりRiviera Country Club、2013年より我孫子ゴルフ倶楽部でそれぞれライセンス・フォトグラファーを務める。また、写真集に「美しきゴルフコースへの旅」「Dream of Riviera」、作家・伊集院静氏との共著で「夢のゴルフコースへ」シリーズ(小学館文庫)などがある。全米ゴルフ記者協会会員、世界ゴルフ殿堂選考委員。

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