旅する写心 〜「全米オープンの記憶」1990年 アーウィン最年長優勝

全米オープンの厳しさ
それを思い知らされたのが
1990年のメダイナだった。
最終日を首位と4打差の20位から出た
ヘイル・アーウィンが
最終ホールで14mのバーディパットをねじ込み
マイク・ドナルドとの翌日18ホールの
プレーオフに持ち込んだ。

当時はフィルムカメラで
レンズもオートフォーカスではなく
マニュアルだった。
そんな中、まさかの14mを決めたアーウィンは
18番にいるギャラリーに
ハイタッチして走り回った。
ご承知のようにフィルムは1本36枚が最大。
日本では想像もできないような展開に
必死でシャッターを押したのを思い出す。

翌日のプレーオフも15番終了時点では
ドナルドが2打リードしていたが
ビッグタイトル目前の18番で
4mのパーパットを外してエキストラホールに。
19ホール目でアーウィンにバーディを決められ
長い戦いに終止符を打たれた。

歓喜と落胆。
表彰式での対照的な2人のシーンが印象的だった。
アーウィンは全米オープン3度目の優勝で、
45歳での大会制覇は最年長記録となった。
この記録は今でも破られていない。

宮本 卓Taku Miyamoto

1957年、和歌山県生まれ。神奈川大学を経てアサヒゴルフ写真部入社。84年に独立し、フリーのゴルフカメラマンになる。87年より海外に活動の拠点を移し、メジャー大会取材だけでも100試合を数える。世界のゴルフ場の撮影にも力を入れており、2002年からPebble Beach Golf Links、2010年よりRiviera Country Club、2013年より我孫子ゴルフ倶楽部でそれぞれライセンス・フォトグラファーを務める。また、写真集に「美しきゴルフコースへの旅」「Dream of Riviera」、作家・伊集院静氏との共著で「夢のゴルフコースへ」シリーズ(小学館文庫)などがある。全米ゴルフ記者協会会員、世界ゴルフ殿堂選考委員。

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