旅する写心 〜「コース巡礼」20.シネコックヒルズGC 16番ホール

今年の全米オープン会場となるのは
1891年創立のシネコックヒルズ。
全米最初のゴルフクラブであり、
全米最初のクラブハウスも健在で
全米初の女性メンバーが認められたことでも有名だ。

全米オープンを過去に4度開催している。
私は1995年、2004年大会を取材した。
この2大会は同じコースと思えないほど
セッティングが異なっていた。
95年は膝の長さまであるようなラフで
入れたら横に出すのが精一杯だった。
そして、04年は「シネコックの悲劇」と
言われるほど問題の多い大会となった。

ラフは95年ほど長くなかったものの
グリーンが硬くて、とてつもなく速かった。
予選2日間首位を走ったのは丸山茂樹だ。
3日目に4位まで後退したものの
まだまだ優勝の狙える位置につけた。
最終日は晴天で風もなかったが
パー70のコースで平均ストロークが
「78.727」となる異常な設定だった。
選手、メディア、そして業界中の人間が
強烈にこの大会運営を批判し、
主催者のUSGAもその後
セッティングのミスを認めた。

14年ぶりにシネコックヒルズで行われる
全米オープン。古き名門コースは
現在のトッププロの力をどう引き出すか、
興味が尽きない。

Shinnecock Hills Golf Club
ニューヨーク州サウサンプトン
16th Hole 540yards Par5

宮本 卓Taku Miyamoto

1957年、和歌山県生まれ。神奈川大学を経てアサヒゴルフ写真部入社。84年に独立し、フリーのゴルフカメラマンになる。87年より海外に活動の拠点を移し、メジャー大会取材だけでも100試合を数える。世界のゴルフ場の撮影にも力を入れており、2002年からPebble Beach Golf Links、2010年よりRiviera Country Club、2013年より我孫子ゴルフ倶楽部でそれぞれライセンス・フォトグラファーを務める。また、写真集に「美しきゴルフコースへの旅」「Dream of Riviera」、作家・伊集院静氏との共著で「夢のゴルフコースへ」シリーズ(小学館文庫)などがある。全米ゴルフ記者協会会員、世界ゴルフ殿堂選考委員。

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