旅する写心 〜「コース巡礼」32.古賀ゴルフ・クラブ 空撮

今年の日本オープンは
九州屈指の名門
古賀ゴルフ・クラブで開催される。
玄界灘に面した
古賀海浜の穏やかな砂丘に
18ホールが完成したのは1957年
上田治によるものだった。

当初は砂丘に日本の芝が
根付くかどうか心配されたが
川奈の現場監督を務めた
農学博士・丸毛信勝の
「浜木綿が一帯に生えているならば、
この砂地にも芝はつく」と云う言葉に
九州にも本格的なリンクスコースを
作る機運が盛り上がった。
すでに「西に上田あり」と謳われ、
下関GC完成の後
上田は福岡へと乗り込んだ。

C.H.アリソンが来日した際
アシスタントとして
彼の仕事ぶりを見た上田は
当時の造成技術や
芝に対する知識に
目から鱗が落ちる思いだったという。
その後廣野の支配人を経て
設計家の道へと進み、
円熟期に手掛けた作品が古賀GCだ。
松林の上空を吹く玄界灘の風が
このコースの難しさを
さらに深めている。

宮本 卓Taku Miyamoto

1957年、和歌山県生まれ。神奈川大学を経てアサヒゴルフ写真部入社。84年に独立し、フリーのゴルフカメラマンになる。87年より海外に活動の拠点を移し、メジャー大会取材だけでも100試合を数える。世界のゴルフ場の撮影にも力を入れており、2002年からPebble Beach Golf Links、2010年よりRiviera Country Club、2013年より我孫子ゴルフ倶楽部でそれぞれライセンス・フォトグラファーを務める。また、写真集に「美しきゴルフコースへの旅」「Dream of Riviera」、作家・伊集院静氏との共著で「夢のゴルフコースへ」シリーズ(小学館文庫)などがある。全米ゴルフ記者協会会員、世界ゴルフ殿堂選考委員。

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