旅する写心 〜「一瞬のアダージョ」1991年 Ryder Cup

1991年に初めて行った
ライダーカップは
史上最高の
エキサイティングな試合となった。
「キアワの決闘」として
語り継がれる戦いとは。

大会直前に
スティーブ・ペイトが交通事故で
プレーできないアクシデントの幕開け。
両チームにさらに火がついた。
当時欧州チームは最強のメンバー。
地元開催で負けられない米国チーム。
勝負のゆくえは最終日、最終マッチの
アーウィン対ランガーの決着次第となった。

17番をランガーが取り
オールスクエアで18番へと向かう。
もう何も音が聞こえないほどの応援合戦。
ランガーが1.8mのパーパットを外した瞬間、
グリーン上は選手、家族、ギャラリーにより
歓喜の渦に包まれた。

全く予想だにしなかった状況に
戸惑いながら必死でシャッターを押した。
表彰式後も米国チームの興奮は収まらない。
ライダーカップを持ち
海へと走っていった。
カップにシャンパンを注ぎ
みんなで祝った。

日本に帰国し、この興奮を伝えようと
編集者に話しても誰も見向きもしなかった。
「だって日本人出てないでしょ」
まだ日本でライダーカップが
テレビ中継されていない時代。
心の中では
これまでで一番の試合だったと
今でも思っている。

Kiawah Island Golf Resort Ocean Course
キアワアイランド ゴルフリゾート オーシャンコース

宮本 卓Taku Miyamoto

1957年、和歌山県生まれ。神奈川大学を経てアサヒゴルフ写真部入社。84年に独立し、フリーのゴルフカメラマンになる。87年より海外に活動の拠点を移し、メジャー大会取材だけでも100試合を数える。世界のゴルフ場の撮影にも力を入れており、2002年からPebble Beach Golf Links、2010年よりRiviera Country Club、2013年より我孫子ゴルフ倶楽部でそれぞれライセンス・フォトグラファーを務める。また、写真集に「美しきゴルフコースへの旅」「Dream of Riviera」、作家・伊集院静氏との共著で「夢のゴルフコースへ」シリーズ(小学館文庫)などがある。全米ゴルフ記者協会会員、世界ゴルフ殿堂選考委員。

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