旅する写心 〜「コース巡礼」35.ロイヤル・セントジョージズ・ゴルフクラブ 4番ホール

今年の全英オープンは
新型コロナの影響を受け
中止となった。
Royal St George’sにとっては
2011年以来の開催が
来年に持ち越された。
1860年に始まった全英オープンで
スッコットランド以外での開催は
1894年の同コースが初だった。

ロンドン市内にも古くから名門コースはあったが
“どうしてもリンクスで”という要望にこたえ、
ドーバー海峡近郊の海岸地帯に
最適な場所を見つけた。

僕がこのコースを訪れたのが1992年。
まず驚いたのが風だ。
ドーバー海峡から吹き付ける風は
心がポッキリ折れるほど凄まじかった。
その上、スコットランドのコースとは違い
ホールの方角が目まぐるしく変わるため
風向きの計算がとても難しい。

そうして4番ホールにたどり着いたとき
目の前に広がる光景に立ち竦んだ。
見たこともないようなバンカーが
大きな口を開けて待っていた。
左ドッグレッグを右サイドから攻めたいが
そこは大きなチャレンジが必要になる。
スコットランド人に負けないようなものを
作ろうというイングランド人の魂を感じるホールだ。
さあ挑もうじゃないか。
なんてゴルフは楽しいんだ。

Royal St. George’s Golf Club
ロイヤル・セントジョージズ・ゴルフクラブ

宮本 卓Taku Miyamoto

1957年、和歌山県生まれ。神奈川大学を経てアサヒゴルフ写真部入社。84年に独立し、フリーのゴルフカメラマンになる。87年より海外に活動の拠点を移し、メジャー大会取材だけでも100試合を数える。世界のゴルフ場の撮影にも力を入れており、2002年からPebble Beach Golf Links、2010年よりRiviera Country Club、2013年より我孫子ゴルフ倶楽部でそれぞれライセンス・フォトグラファーを務める。また、写真集に「美しきゴルフコースへの旅」「Dream of Riviera」、作家・伊集院静氏との共著で「夢のゴルフコースへ」シリーズ(小学館文庫)などがある。全米ゴルフ記者協会会員、世界ゴルフ殿堂選考委員。

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