旅する写心 〜A Change Is Gonna Come

今年ウィスリングストレイツで
開催予定だったライダーカップが
来年に延期となった。
このコースの近くには
姉妹コースの
ブラックウルフ・ランがある。
このコースで初めて
ビッグトーナメントが開催されたのが
1998年の全米女子オープンだった。

この試合は女子ツアーの時代が
大きく変わった時だったのかもしれない。
その年5月にルーキーながら
全米女子プロを制した朴セリと
アマチュアのシャシリポーンとの
翌日18ホールのプレーオフとなった。
アマチュアが勝てば
1967年以来2度目のこと。
セリが勝てば史上最年少優勝で
ルーキーとして初めてメジャー年間2勝となる。

18ホールでは決着がつかず
勝負はエキストラホールへと向かった。
その2ホール目は互いにバーディチャンス。
先に打ったシャシリポーンが外し
セリが見事に決めた。
セリの優勝は韓国の女子選手の
心に火をつけた。
翌年から多くの選手がアメリカへと渡り、
その相乗効果はすごかった。
セリだけではなく
他の韓国選手が我も我もと優勝した。
もしあの優勝がなかったら…
時代とは一瞬にして変わってしまうものだと
つくづく感じた試合だった。

Blackwolf Run Golf Course
ブラックウルフ・ラン ゴルフコース

宮本 卓Taku Miyamoto

1957年、和歌山県生まれ。神奈川大学を経てアサヒゴルフ写真部入社。84年に独立し、フリーのゴルフカメラマンになる。87年より海外に活動の拠点を移し、メジャー大会取材だけでも100試合を数える。世界のゴルフ場の撮影にも力を入れており、2002年からPebble Beach Golf Links、2010年よりRiviera Country Club、2013年より我孫子ゴルフ倶楽部でそれぞれライセンス・フォトグラファーを務める。また、写真集に「美しきゴルフコースへの旅」「Dream of Riviera」、作家・伊集院静氏との共著で「夢のゴルフコースへ」シリーズ(小学館文庫)などがある。全米ゴルフ記者協会会員、世界ゴルフ殿堂選考委員。

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