旅する写心 〜I’ll Remember April

コースを語る上で
設計者が誰とか
ホールレイアウトがどうとか
よく話し合われるが、
意外と少ないのが
18ホールのルーティングプランだ。
記憶に残るコースは
これが大きな要素を占めている。

コースを造る上で与えられた土地に
どのように18ホールのルートを描くか。
考えただけでもワクワクしそうな作業だ。
昔は重機が無いなか、
できるだけ土を動かさないで
コースを造っていく。
土地が持つ高低差をうまく利用し
谷や川をレイアウトに組み込み
ハザードとしてだけではなく
風の流れを生み出し
14本のクラブを全て使うように
プレーヤーの想像力をかき立てる。

この季節、
太平洋クラブ御殿場コースを歩いていると
18ホールの構成の巧みさを感じる。
ひとつのホールのレイアウトだけではなく
次のホール、次のホールへの高揚感。
そうして18ホール終えたあとの
自然と蘇る一打一打の記憶。
優れた文章の起承転結、
心に残る曲のメロディ。
これら全てが
人に幸せを感じさせてくれる
大切な時間なのだ。
歩きながら、ボールを追いかけながら
いま一度ゴルフの愉しさを噛みしめる。

太平洋クラブ 御殿場コース
静岡県御殿場市

宮本 卓Taku Miyamoto

1957年、和歌山県生まれ。神奈川大学を経てアサヒゴルフ写真部入社。84年に独立し、フリーのゴルフカメラマンになる。87年より海外に活動の拠点を移し、メジャー大会取材だけでも100試合を数える。世界のゴルフ場の撮影にも力を入れており、2002年からPebble Beach Golf Links、2010年よりRiviera Country Club、2013年より我孫子ゴルフ倶楽部でそれぞれライセンス・フォトグラファーを務める。また、写真集に「美しきゴルフコースへの旅」「Dream of Riviera」、作家・伊集院静氏との共著で「夢のゴルフコースへ」シリーズ(小学館文庫)などがある。全米ゴルフ記者協会会員、世界ゴルフ殿堂選考委員。

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