旅する写心 〜Hundred Miles

米プリンストン大の真鍋淑郎さんが
ノーベル物理学賞を受賞した。
プリンストン大というのは
日本人にとっては馴染み薄い
名前かもしれないが
ゴルフ界にとっては
とても重要な役割を果たしていた。

赤星六郎はプリンストン大留学中にゴルフを覚え
同大ゴルフ部のキャプテンを務めた。
1924年にパインハーストで行われた
春季大学競技会で見事に優勝。
帰国後の27年に第1回日本オープンで優勝し
30年には日本アマにも勝った。

その赤星にゴルフを教わったのが
同大に留学していた小寺酉二。
軽井沢ゴルフ倶楽部や相模原ゴルフクラブなどを
手がけた設計家としても活躍し
JGAの中枢としてゴルフのルール作りに関わった。

そしてもうひとりが近衞文隆。
近衞も同大ゴルフ部でキャプテンを務め
パインハーストで行われた大会で
大学をチーム優勝に導いた。
その後は父親の近衞文麿が首相となり
近衞は秘書官になったが
第二次世界大戦でシベリアに抑留され
帰国を前に41歳で無念の死を遂げた。
豪快な飛距離が有名で
もし近衞が生きていれば
日本のゴルフ界にとって
大きな遺産を残したかもしれない。

プリンストン大学のゴルフ部の歴史は
間違いなく日本のゴルフの礎となった。

Pinehurst Resort
パインハーストリゾート

宮本 卓Taku Miyamoto

1957年、和歌山県生まれ。神奈川大学を経てアサヒゴルフ写真部入社。84年に独立し、フリーのゴルフカメラマンになる。87年より海外に活動の拠点を移し、メジャー大会取材だけでも100試合を数える。世界のゴルフ場の撮影にも力を入れており、2002年からPebble Beach Golf Links、2010年よりRiviera Country Club、2013年より我孫子ゴルフ倶楽部でそれぞれライセンス・フォトグラファーを務める。また、写真集に「美しきゴルフコースへの旅」「Dream of Riviera」、作家・伊集院静氏との共著で「夢のゴルフコースへ」シリーズ(小学館文庫)などがある。全米ゴルフ記者協会会員、世界ゴルフ殿堂選考委員。

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